BCBAとは何?
国際資格の行動分析士(BCBA)とは何?
BCBA®︎とは、行動分析学(ABA)のサービスを提供することが認定された者(認定行動分析士、Board Certified Behavior Analyst)のことす。ABAの専門家としての一定の教育(大学院の授業)と専門的な実習の基準を満たし、テストに合格した者を、行動分析認定協会 (BACB: Behavior Analyst Certification Board)が認定しています。日本にもこの認定を受けるもいるのですが、数えるほどしかいないのが現状なので、BCBAの認定を持っている方からサービスを受けていたら、ラッキーと言って良いでしょう。協会のウェブサイト(www.bacb.com)に行くと、日本どれだけのBCBAがいるのか調べることも可能です(残念ながら全て英語です)。
人数の少なさの理由は、実はこの協会は国際的にどの国の人に在住しても認定を提供していた資格だったのですが、2023年1月より、多種多様な文化への柔軟な対応が難しいことなどを理由に、アメリカやカナダなど一部の国に在住する人のみに限定されることになり、もはや日本に住んでいる専門家には認定は不可能な資格になってしまいました(日本人でもアメリカに住む人は、現在でも認定を受けることができます)。さらに、2023以前には国際的にどの国に在住していても取得可能な認定であったと言っても、協会からの基準を満たす大学院のプログラムは日本には存在したことはないので、結局は認定を受けるために海外の大学院教育を受ける必要があり、これが日本人で認定を受ける人が少ない大きな要因の一つということです。
ここで少し話はずれますが、認定協会とは、認定によって専門家の受ける一定の教育と経験を保証するもので、サービスを提供するものに対して、その質を管理し担保する母体なのです。ですから現在日本に「認定資格がない」という状態は、とても良い状態とは言えないのです。アメリカでは多くの州で健康保険などを使ってABAのサービスを使用することができますが、質を担保するBCBAの認定が存在したことで、社会制度の普及が比較的早く進んだとも言えます。日本でもABAのサービスを普及させるには、日本独自の認定で、日本の学会、日本の利用者、日本のサービス提供者、そしてその他の利害関係者が仲間となって後押しする、何らかの認定資格を立ち上げる必要があるのではないかと考えています。
では、BCBAなどの認定資格を持っている人が良い行動分析家で、そうでない人は行動分析ができないのでしょうか?必ずしもそうではありません。あくまで認定は、ABAを提供するに値する最低の基準を示しているものです。例えば運転免許を持っていても、全員が優良ドライバーではないとか医師免許を持っている医者が全員素晴らしい医者かと言うと、そうではありませんよね。BCBAだからと言って必ず良いとは限りませんが、かなりの数の行動分析の授業を受けて何千時間もの実習を受けて、試験に合格したのですから、それなりの準備性はあると言う判断基準の1つとして考えると良いでしょう。逆に認定はなくても、良い先生に師事し学習し、何年も経験された方もいるでしょう。どの専門家を選ぶのかは、消費者として厳しい目線から選択することが必要でしょうが、現在は、正当な教育を受けたABAの専門家の数が圧倒的に少ないと言うことは確かでしょう。
ちなみにBCBAには、4つのレベルがあります。(1)BCBA-D、(2)BCBA、(3)BCaBA、(4)RBTです。
(1)のBCBA-DのDはドクターで、博士号を取得者のレベルの認定になります。
(2)BCBAは大学院修士号を取得した者のレベルの認定です。
(3)BCaBAは大学を通常に卒業した者のレベルの認定です。
(4)RBTは高校卒業以上のレベルの認定です。
ピラミッドをイメージしていただくと分かりやすいと思います。上に行くほど専門性が高く、取得者は少ないです。BCBAは基本単独でサービスを提供することができますが、難しいケースなどは上司にBCBA-Dがいることで、より安定したサービスを提供できます。BCaBAやRBTは、BCBAもしくはBCBA-Dの監督のもとでサービス提供が初めて可能になります(単独のサービスは行わないレベルの認定です)。
どうしてこのようなレベルが必要になるかと言うと、ABAをつかった早期集中型の療育というのは、週に20時間以上が科学的に効果的と言われています。この20時間以上を文字通りBCBAがセラピーをするとなると、膨大な費用になってしまいます。これをそこまでの専門性を必要としないRBTなどのセラピストが直接支援を提供し、そのプログラム全体をBCBAがスーパーバイズすることで、コストを抑えることができるのです。
日本では、公費によるサービスは、児童発達支援事業所などのかなり限定的なサービス(たとえば、週に2、3回で1回90分など)になってしまいます。私費のサービスともなると、コストの面から考えて、たとえRBTとBCBAの両方を使ったとしても、週に20時間以上のような集中的なサービスが提供されることは、現実的ではない状態にあるかと思います。日本とアメリカで、このようにサービス形態は大きく違うかもしれないですが、しっかりとした専門的知識とスーパーバイズされた上での経験が必要なのは、変わらないと思います。BCBAのこれまでのアメリカでの経験をもとに、現在の日本の状況を踏まえた上で、日本で役に立つ認定資格をこれから皆で作っていくことが必要だと私は考えています。
※このコラムは、弊社最高臨床責任者の竹島より許可を得て、下記URL先のサイトから転載しております。
http://kojitakeshima.com/bcba.html