最高臨床責任者 心理学博士 認定行動分析士(BCBA-D)
株式会社エルチェでは、様々なスタイルの教育活動を提供しています。1対1の個別スタイルの他にも、お友だち同士遊ぶスタイルや、小集団で(園のように)先生のリードに合わせて活動するスタイルを取る場合もあります。それぞれの子どもの特性や事業所ごとにセラピーのスタイルは異なりますが、その違いこそがエルチェの特徴の1つです。ABAとは、一定形態の教え方を指すものではなく、中心となる共通した分析方法を元に、そこから生まれた(そして科学的に証明された)教え方や技法の集まりですから、子どもや状況、そして教育の目標に応じてやり方を柔軟に変えられるものなのです。例えば、ABAと聞いて一番イメージされやすいやり方として、果物の絵をいくつかテーブルの上に置いて「りんごはどれ?」と聞き、指をさしてもらうという教え方があります。テレビや動画などで見てご存知の方もいるかもしれません。でも、りんごを教える方法はABAの中でも1つではなく、必要に応じて柔軟に変えて良いものなのです。机上で絵カードを使い、最小限の刺激に限定して教えることで、集中して人の話に注目できる場合があるかもしれません。また、果物の本を読み、ミックスジュースの歌を歌い、果物からジュースを作る想像的な遊びをすることで、りんごに注目する動機も高まって、果物に関連した遊びやコミュニケーションなど多くのスキルが促進されるかもしれません。教え方よりも、最終的な結果が大切なのです。逆にやり方の形式のみにとらわれて教えると、机上では指差しできても、スーパーに行ったらりんごが見つけられないこともあります。多くの場合子どもにとって重要なことは「指差しができる」に留まらず、そこを出発地点に、果物など子どもらしい題材を通したコミュニケーションとやり取りを楽しむことなのです。教え方のみにとらわれず、最終的な目的地をしっかりと見据え、子どもにとって何が必要なのか分析し、本当に子どもの為になったのかを確認する事が大切なのです。