ABA療育・放課後預かり・外出支援

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コラム

「本当にそうなの?」診断のセカンドオピニオン

自閉スペクトラム症かどうかよりも、何ができるかに目を向ける。

「本当に自閉スペクトラム症ですか?」これは一番よくされる質問です。私のよくする回答は、以下の通りです。

「私は診断の専門家でないので、どうとも言えません。自閉スペクトラム症かもしれませんし、そうでないかもしれません。X線やMRI(磁場と電波を用いて体内の画像を撮影する装置)などで診断できるものでもありませんし、原因が分かっていないのですから、原因を取り除くこともできません。しかし、発達に遅れがあるのであれば、とりあえず療育で発達の遅れを小さくして行きませんか。大切なのは、子どもが成長している、学んでいることであって、診断名ではないのです。」

自閉スペクトラム症には特効薬があるわけではないので、本 当に自閉スペクトラム症か、そうでないか正確に診断することに利点は大きくないのです。診断することの利点は、障害手帳などの社会的な支援を受けたり、周りがその障がいを理解したり、療育を始められるということが主になります。

 療育の視点からすると、療育は早期に開始すると効果が高く出やすいことです。療育の効果が一番現れるのが、「早期」であり、だいたい1歳後半から3歳前半くらいまでの時期を言います。(早期でなければ効果がない、早期に始めたから必ず効果があるという事ではないので注意してください。)現実的に、「療育をいつ始めるか?」の方が、療育の専門家としての視点からすると、圧倒的に有意義な質問と言えます。ただし残念なことに、療育の効果はまちまちで、あまり大きな効果が現れない場合も多くあります。

  しかし、診断は必ずしも早期に行われるとは限りません。特に症状のそれほど大きくない(高機能と呼ばれる)場合は早期の診断がかなり難しく、専門医であっても自信が持てない場合は3歳前に診断をし ないかもしれません。専門医が診断したからと言って、現状では公的機関から療育が大きく支援されるわけではないので、専門医にも早期診断をする理由がないという現 状もあります。

療育は薬のような副作用がなく、診断名に関わらず良い 効果を出す事ができます。(ただし、どんな療育でも必ず良い効果が出るということではないので、療育の質には注意してください。)ABAに関して言えば、自閉スペクトラム症であろうが、発達の遅れであろうが、さらに言うと、発達の遅れがなくとも、良い療育をすれば良い効果が出るのです。専門家の元に通うことが難しい場合は、家庭で出来ることから行っていただければ良いのです。家庭でやれる程度のものであれば、もし将来的に自閉症と診断されたら、「療育を始めておいて良かった。」ということになり、自閉スペクトラム症ではないと診断されたら、忘れてくださっても良いのですから、損はありません。

ちなみに、私がカリフォルニアで監督していた教室では、自閉スペクトラム症児の他にも、その子たちと一緒に遊んでくれる定型発達児を招待していましたが、教室に来ていただいた定型発達児の親からも、大抵「良い効果があった」、「(教室に)行かせて良かった」との報告を受けています。また、現在の教室(「ひまわりABA教室(発達療育レンテ名古屋)」)にも、生徒の兄弟(定型発達をしている)が参加する場合があります。この場合もメチャクチャ楽しんで帰る場合が多く、「絶対また来る!」と言い残して帰る子もいます。そうでなければ、来てくれませんよね。

 

※このコラムは、弊社最高臨床責任者の竹島より許可を得て、下記URL先のサイトから転載しております。
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